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平成24年度 強度規格小委員会活動報告 |
小委員長 森脇 一郎 |
幹 事 上田 昭夫 |
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1. 会議・打ち合わせ等の日程 |
平成24年 8月3日 於.ポリプラスチックス(株) 参加7名 |
今年度の主たる作業は,昨年度当小委員会が中心となって編集した当委員会20周年記念誌「プラスチック歯車の設計指針 -よりよい歯車を設計するために-」をテキストとした今年度の講習会の企画であった.上記会議では主としてこの講習会の内容について最終の打ち合わせを行った.(企画案についてはメール審議) もう一つのミッションは,昨年度作成したJIS規格原案「プラスチック円筒歯車の曲げ強さ評価方法」を発展させていく作業であり,そのため,PA歯車について規格原案に従って評価を進めている.その実験状況について議論した.さらに,内歯車に関する実験も視野に入れ,実験装置の構造について意見交換した. |
2. 調査・研究等内容 |
講習会は平成24年8月31日青学会館において開催され,参加者は43名であった. 一方,実験については,PA に対する実験に先立ち, 既に種々の研究機関での実験結果について同様の検討を行ってはいるが,規格に記載された実験を行ったものとは異なる試験機で同じ実験を行い,試験機の差の影響について調べた.図 1 がその結果である.横軸を損傷が認められたときのかみ合い回数とし縦軸を歯元曲げ応力として両対数グラフとなっている.青のプロットが 規格に記載のもので,紫のプロットが今回行った実験結果を示したものである.いずれも同色の破線が最小二乗近似で両対数グラフ上で直線近似したもので,実線がそれを下方に平行移動し 1 % 損傷確率のレベルを示している.図 1 に示したように,直線の傾き(寿命係数を決める)が-0.112 から -0.180 と少し急になっており,σFlim も 80.MPa から 70MPa に下がっている.今回の実験は負荷レベルは 3 水準と規格を満足しているが,プロット点が 6 個しかなく,統計的疲労試験法 JSME S 002:1994にある S-N 曲線傾斜部を求める方法に倣う(8 個のプロットが必要)という規定を見対していない.したがって,現時点では参考データとしか言えない.そこで,すべての実験結果から近似直線(図 1のシアンの線)を求めたところ,その傾きは -0.103 となり,σFlim は76 MPa となった.これは,許容できる範囲の差ではないだろうか. 図 2 が PA66 の実験結果である.106よりかなり少ないかみ合い回数で損傷が認められる負荷レベルしか含んでおらず,やや正確を欠くとも考えられるが,近似直線の傾きは -0.267 で,σFlim は 44 MPa となった.POM に比べて若干低すぎるきらいもあるように思われるが,いかがであろうか. 図 3 が現在検討している試験内歯車取付治具の 3D CAD 図である.少なくとも試験歯車回転速度を1000min-1 とした実験ができるようにと考えており,片持ち状態で問題ないか検討しているところである.遅くとも来年度中には設計を終え,製作に入りたいと考えており,平成 26 年度には実験を開始できるように準備を進めている. |
●強度規格小委員会メンバー紹介 |