[付録:D]
歯元応力解析例(最弱断面歯厚が同じ場合)

D1. はじめに
  歯形係数は,歯元のフィレットカーブと30度接線の交点を最弱断面歯厚として決定するが,図D.1のようにフィレットカーブの最弱断面位置のRと単一Rが同じである場合,歯形係数は同じとなるため強度式では強さに差はでない.しかし,発生応力は歯元形状に違いがあるため同じとはならないはずである.ここでは,並歯,歯数20の歯車について歯元応力解析をした結果を示す.


D2. 検討歯車
  検討歯車の諸元を図D.2に,歯形かみ合いを図D.3に示す.

  基準ラックの歯元Rを0.375(ホブの刃先Rc=0.375)として創成運動させた歯形の最弱断面歯厚(30°接線法)は図D.4に示すように1.9944となり,P点におけるフィレットRは0.5319mmとなる.次に,P点を通る単一R=0.5815を持つ歯形を重ね合わせると単一Rとフィレットカーブとの差はごく僅かであるが最大で0.0169mmの違いがある.

D3. 応力解析
  CT-FEM Systemで応力解析(E=205800MPa,ν=0.3)をした.その結果を図D.5および図D.6に示す.


D4 まとめ
(1) フィレットカーブのほうが単一Rに比べて8%程度発生応力が小さくなる.また,
    単一Rの応力は,リム部に伝播してい ることが解る(図D.6参照).
(2) 歯元曲線は創成運動を元にして簡単に得ることができるため 単一Rで接続す
    るメリットは無い.
(3) 今回,歯数を20としたが,更に少ない歯数であればその差はより大きくなると
    思われる.

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