[付録:A]
CT-FEM Systemによるはすば歯車の歯元応力解析例

A1. はじめに
  機論(C編)52巻479号1)「はすば歯車の実用歯元曲げ応力計算式」の1983頁,図8の各種曲げ強度計算式による歯元応力と実験結果を比較したグラフに興味を持ちCT-FEM System2)で解析した.その結果,実験値と極めて近い解析結果を得たのでここに報告する.

A2. 概要
  図A.1に示すようにISO・DIN,BS,AGMAの強度計算と実験結果は,ほぼ同等の値となっている.しかし注目すべき点は,強度計算結果では,ねじれ角が増加するにつれ応力値が小さくなっているが実験結果では,ねじれ角が増加するとともに応力値が大きくなり強度計算と逆の結果となっている.
  理論歯形による「FEM-1」の解析結果はJSMEとほぼ同等となったが,他の強度計算結果や実験値よりも4割程度小さい.しかし歯車の誤差を考慮した「FEM-2」の解析結果は,実験値とほぼ同じ応力値となり更にねじれ角による傾向も実験と同じ結果となった.


A3. 歯車諸元
  原文3)には,「歯元応力の測定に使用した歯車の諸元は表A.1であり,歯車材料はSNC415,浸炭焼入れ後研削したもので精度は(旧)JIS1級であり,静的負荷かみ合い試験機を用いて円周力 P=9.8kNのもとで,はすば歯車の負荷かみ合い時の歯元応力をひずみゲージを用いて測定した.」とある.
  「FEM-1」では理論歯形で解析を行い,「FEM-2」では図A.2,図A.3に示す試験歯車の歯形誤差および歯すじ誤差4)を3種類の歯車に適応させた.また,ピッチ誤差の検査表が無いため(旧)JIS1級の誤差許容値である10μmとして解析した.更に,かみ合い位置は図A.4に示す通りである.


A4. FEM-1の解析結果
  「FEM-1」は,理論歯形の解析である.図A.5~A.7は設定画面であり,図A.8と図A.9に,ねじれ角10°の解析結果を,図A.10と図A.11にねじれ角30°の解析結果を示す.ねじれ角20°は省略する.

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A5. FEM-2の解析結果
  「FEM-2」は,歯車の誤差を考慮した解析である.歯形誤差と歯すじ誤差は,図A.2および図A.3を読み取りピニオンとギヤの誤差を図A.12および図A.13のように設定した.

A5.1 ねじれ角10°の解析結果
  ねじれ角10°の解析結果を図A.14~A.18に示す.


A5.2ねじれ角20°の解析結果
  ねじれ角20°の解析結果を図A.19~A.23に示す.

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A5.3ねじれ角30°の解析結果
  ねじれ角30°の解析結果を図A.24~A.28に示す.


A6. まとめ
(1) 誤差を考慮した「FEM-2」の解析結果と実験値は,ほぼ同じ応力値であり,更
    に,ねじれ角と応力値の傾向も同じ結果となった.
(2) 理論歯形に歯形誤差とピッチ誤差を与えると,ねじれ角30°の歯車では歯
    元応力は1.7倍にもなる.
(3) 図A.27のβ=30°では歯形・歯すじ誤差の影響により二段当りが顕著に現
    れていることが解る.

A7.その他
  歯面修整を与え,更に軸角誤差を与えた場合の歯面応力も数%の誤差で解析することができた.(別報告)

参考文献など
1) 小田,小出,機論(C編)52巻479号(昭61-7),はすば歯車の実用歯元曲げ応
    力計算式
2) CT-FEM System Ver.3.0,アムテック,歯車応力解析ソフトウェア
3) 小田,島富,機論(C編)621.833.2/.6,827ページ
4) 小田,島富,機論(C編)621.833.2/.6,827ページ,図3

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