[43] 円弧歯すじ歯車設計システム


43.1 はじめに
  円弧歯すじを持つ歯車はスラスト荷重がなく,歯の位置合わせ能力があり,かみ合い率を大きく(平歯車に対して)することができます.この歯車は古くから知られていますが広く採用されて来ませんでした.それは,図43.2の方法では歯すじの曲率は工具半径で決まるため自由度が制限されてしまうからだと推察することができます.例えば,小歯車と大歯車が同じ歯数であれば図43.2のカッタ直径は同じで良いのですが,歯数比が異なる場合は同じ工具を使用することができません.また,良好な歯当たりを得るためには大歯車に合わせた適切な直径(楕円となるので難しい)を持つ工具が必要です.


43.2 概要
  本ソフトウェアでは円弧歯すじ(半径)を任意に設定することができますので図43.2のような歯すじ(平歯車に近い)ものから小さな曲率まで自由(歯幅に対する制限はあります)に設定することができます.また,円弧だけでなくV字歯すじの歯形も生成する機能も有しています.更に,歯形修整,歯すじ修整機能を有していますので歯幅中央部のかみ合い(歯当たり)とすることもできます.
  ソフトウェアで歯車諸元設定後は,正面かみ合い図,すべり率グラフ,かみ合いグラフを表示し,歯すじ入力,歯形・歯すじ修整入力(無修整も可能)をすると歯形を生成します.歯形レンダリングで,かみ合い接触線を確認することができます.そして,生成した歯形はDXF,3D-IGESファイルで出力することができますのでマシニングセンタなどで容易に加工することができます.図43.3に全体画面を示します.
43.3 ソフトウェアの構成
  円弧歯すじ歯車設計システムの構成を表43.1に示します.表中の○は基本ソフトウェアに含みます.
適応歯車:インボリュート歯車(外歯車)


43.4 歯車寸法
  歯車諸元は平・はすば歯車と同様で図43.3のように設定します. 数値設定後,[確定]すると歯車寸法を図43.4のように表示します.ここでのかみ合い率は,正面かみ合い率を示しますが,図43.8で歯すじ曲線を設定した後で重なりかみ合い率を計算します.

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43.5 歯形図,すべり率
  図43.3で設定した歯車の正面歯形は図43.5のように表示することができます.歯形の拡大や回転角度などは図43.5に示すコントロールフォームで操作することができます.
  図43.6のかみ合いグラフは,ピニオンとギヤの作用線の関係を示すもので図43.6の歯形図と連動することができます.また,図43.7にすべり率グラフを示します.


43.6 歯すじ曲線
  歯すじ曲線を図43.8 で設定します.ここでは,歯すじの種類(円弧とV 字の2 種類)と円弧の方向(ピニオンを基準として歯車中心軸に対して右側に位置する場合,右円弧とする)を選択します.ここでは「円弧」を選択し,歯すじ半径をRs=35mm(歯すじ半径の最小値はRsmin=b/2)とすると,重なりかみ合い率はεβ=0.669 となることから全かみ合い率はεγ=2.060 となります.歯車正面を観察したときの円弧歯すじ図を図43.10 に示します.また, 歯すじ曲線をV形とするとき,図43.11のように円弧(Rs)とねじれ角(β)を設定します.設定例と歯すじ曲線図を図43.11に示します.


43.7 歯形・歯すじ修整
  歯形・歯すじ修整は,図43.12で選択し,歯形修整を図43.13 で,歯すじ修整を図43.14で設定することができます.図43.15に歯形・歯すじ修整の参照図を示します.


  例として,図43.14(b)のようにピニオンに歯すじ修整を与えたとき,図43.14の で図43.16を示しますので与えた修整量を確認することができます.

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43.8 歯形レンダリング
  図43.17の無修整の歯形レンダリングでは,歯幅両端まで接触線を確認することができますが,図43.18の歯すじ修整を与えた歯形では,歯幅両端部で接触線を認めることができません.また,図43.19では食い違い誤差(⊿z=0.02°)を与えた場合の歯形レンダリングでは接触線が歯幅の片方に寄っているいることが解ります.図43.20にV形歯すじの歯形レンダリングを示します.
  歯形レンダリングでは,観察角度,回転角度,軸誤差,接触歯面を任意に設定することができます.また,自動回転機能で接触線を連続して観察することができます.


43.9 歯形出力
  図43.21に歯形ファイル出力設定画面を示します.ソフトウェアでは2D-DXFと3D-IGESファイルを出力することができます.例として図43.22にピニオンの歯形を生成し,CADで表示した図を示します.


参考文献
1) A. N. Parshin, Arched Toothed Cylindrical Gears Manufacture on CNC Lathes and Experience of their inculcation, "Thory and Ptactice of Gearing", Russia, pp.151,2014

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