[39] 内歯ウォームギヤ設計システム


39.1 概要
  ウォームギヤの体系は,以下に示すように分類することができます.この中で,(1)および(2)のホイールは外歯車ですが,本件のソフトウェアは,(3)の内歯車ウォームギヤです.なお,LCCWウォームギヤは,カタログ[37]で示している「歯たけ方向に線接触を持つ円筒ウォームギヤ」のことです.

(1) 円筒ウォームギヤ
  (1.1) 円筒ウォームギヤ,24頁
  (1.2) Niemann worm gear,99頁
  (1.3) ウォーム×ヘリカルギヤ,19頁
  (1.4) LCCWウォーム×ヘリカルギヤ,119頁
  (1.5) 傾斜ウォームギヤ,97頁
(2) 鼓形ウォームギヤ
  (2.1) ヒンドレーウォームギヤ,117頁
  (2.2) 鼓形ウォーム×ヘリカルギヤ,119頁
(3) 内歯車ウォームギヤ
  (3.1) 樽形ウォームギヤ,127頁

  内歯車ウォームギヤの樽形ウォームは,鼓形ウォームのように同時かみ合い歯数が多く,且つ,ホイールの歯たけ方向のかみ合い接触線を持つことから潤滑に対して非常に有利といえます.本ソフトウェアは,(3.1)樽形ウォームギヤを設計するソフトェアですが,バックラッシおよびクリアランスを0にすればホブやねじ状砥石の歯形として使用することができます.また,内はすば歯車の軸とウォーム軸を直交させることができる歯形とすることができますので,この樽形ウォーム(ホブ,砥石)の支持軸を内はすば歯車に接触させない位置に配置させることができます(ただし,ねじれ角の制限があります).
  これらを整理しますと
(a) 本ソフトウェアは内歯車用樽形ウォームのソフトウェアですが,バックラッシと
    歯先クリアランスを0にすることにより ホブおよびねじ状砥石の刃形を生成する
    ことができます.
(b) ウォーム(ホブ,砥石)の取り付け角を歯車のねじれ角に合わせることなく歯
    (刃)形を決定することができます.
(c) ホブの取り付け角を,歯車の軸方向に対して直角にすること もできるため,ホ
    ブ(砥石)の切削時の移動は,内歯車の形状に遮られることなく内歯車を重ね
    合わせて複数個同時に加工することができます.

39.2 内歯車諸元入力
  図39.2に内歯車の諸元入力画面を示します.諸元の入力範囲は,0.1≦mn≦50, 10≦ z2 ≦500, 5°≦ αn ≦30°, 0°≦β≦30°です.図39.2の内歯車諸元を確定すると,寸法を図39.3のように表示します.


39.3 ウォーム諸元入力
  図39.4に内歯ウォーム(ホブ,砥石)の諸元入力画面を示します.条数の入力範囲は,1≦zw≦ 3です.中心距離は,理論値の他に,任意に設定することも可能ですのでウォームの直径を変更することができます.また,偏心量を与えると図39.5(a)に示すようにウォームの形状が変化し,ウォーム側面部で逃げを大きくすることができます.

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  図39.6に内歯-樽形ウォーム寸法を示します.また,諸元設定完了後,図39.7 に組図を作図することができますので,樽形ウォームの歯幅や全体のバランスを確認することができます.
  の計算例は,39.6に示します.


39.4 歯形計算
  樽形ウォームの歯形分割数を図39.8で設定します.ここで設定する分割数で生成する樽形ウォームの歯形の細かさが決まります.また,ウォームにクラウニングや歯先修整を与える場合は,図39.9で設定することができます.
  歯形計算後の樽形ウォームと内歯車の3Dかみ合いを図39.10および図39.11に示します.図39.11の(a)は,理論歯形のかみ合いであるため明確に3同時かみ合い線を確認することができますが,図39.11(b)は,図39.9でクラウニングを与えているため右端の接触線は薄く同時かみ合い接触線は2.5歯です.

端の接触線は薄く同時かみ合い接触線は2.5歯です.
  なお,本例は,内歯車とウォームの軸角は図39.4で,セット角φ=0°としていますので90°で組み立てることができるウォーム歯形ですが,内歯車のねじれ角に合わせた軸角としたウォームの歯形を生成することも可能です.


39.5 歯形出力
  生成した歯形をCADデータとして出力することができます.図39.11の歯形を図39.12の歯形ファイル出力により作図した例を図39.13に示します.

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39.6 ホブ(ねじ状砥石)
  図39.2の内歯車を加工する内歯用ホブ(砥石)の諸元入力画面を図39.14に示します.条数の入力範囲は,1≦zw≦3です.中心距離は,理論値の他に,任意に設定することも可能ですのでホブの直径を変更することができます.ウォームの場合はクリアランスおよびバックラッシを与えることができますが,ホブの場合は設定できません.
  図39.15に内歯-樽形ホブ寸法を示します.また,諸元設定完了後,図39.16に組図を作図することができますので,樽形ホブの歯幅や全体のバランスを確認することができます.


39.7 歯形計算
  樽形ホブの歯形分割数を図39.17で設定します.ここで設定する分割数で生成する樽形ホブの歯形の細かさが決まります.また,ウォームにはクラウニングを与えることができますが,ホブにはクラウニングを与えることができません.


  図39.18に樽形ホブと内歯車およびコントロールフォームを示します.また,図39.19に示す拡大図では内歯車の歯面と歯先にホブの刃形接触線を確認することができます.
  内歯車とホブの軸角は図39.14でセット角 φ=0°としていますので歯車とホブの軸角を90°で加工することができるホブの刃形です.


  図39.10は,ウォームセット角をφ=0°としていますが,内歯車のねじれ角(β=15°)に合わせた作図例(φ=15°)を図39.20に示します.ただし,ねじれ角とセット角は同じとする必要はありません.ウォームの歯形が成立する範囲であればφを自由に決めることができます.

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