[20] Face gear design system ⅲ


20.1 概要
  本ソフトウェアは,Face Gear Design System を新しくした商品です.今までオプション扱いしていた機能も一部,基本ソフトウェアに含めています,また,軸角は90°以外も計算でき,ピニオン歯数1歯(少歯数オプション)にも対応しています.
  本ソフトウェアは,ピニオンの歯形(インボリュート)を基にして,それにかみ合うフェースギヤの3次元歯形を決定し,軸角誤差を与えたときの,かみ合い時の歯当たり(接触距離)や実かみ合い率,伝達誤差,すべり速度,そして,すべり率の機能も追加しました.図20.1にソフトウェアの全体画面を示します.

20.2 ソフトウェアの構成
  ソフトウェアの構成を表20.1に示します.表中の○は基本ソフトウェアに含まれ,◎はオプションです.


20.3 ピニオン寸法
  図20.2にピニオン諸元の設定画面を示します.ピニオン歯数は6~99入力できますが,少歯数対応機能(オプション)として1~5歯入力することができます.少歯数の設計例は20.12項に示します.
  ねじれ角は0°~80°までを設定することができ,歯厚入力方式では,転位係数,またぎ歯厚,オーバーピンそして転位量から選択することができます.また,面取りはC面とR面で設定することができます.
  図20.3にピニオン寸法の計算結果を示します.オーバーピン径は理論値を表示しますが,使用するピン径に合わせて変更することができます.


20.4 フェースギヤ寸法
  図20.4にフェースギヤ諸元設定画面を示します.軸角入力範囲は45°~135°です.オフセットを与えるとフェースギヤの歯形生成に強く影響を及ぼすためフェースギヤの外径側には歯先尖りが,また,内径側にはアンダーカットが生じ易くなります.そのため,入力時には注意が必要ですが,標準値および制限値を示しますので入力は容易です.なお,「刃先R」はフェースギヤを生成するときの工具の刃先Rを示しています.また,オフセットと内径,外径の定義を図20.5に示し,寸法結果と組み図を図20.6および図20.7に示します.なお,オフセットとねじれ角には制限があります.


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20.5 断面図
  図20.8にピニオン歯形を示します.ただし,ピニオンの赤線の歯形は図20.2で設定したピニオン諸元に基いた歯形で,緑線はギヤを加工する工具の刃形です.


20.6 歯形計算
  ギヤの歯形を計算する際,歯形分割数(図20.9 参照)と歯幅分割数(図20.11 参照)を設定します.このとき,図20.9に刃先とがりに発生の有無を表示します.刃先尖りが生じる場合は,フェースギヤの歯形を正しく生成することができません.


  歯形計算終了後,図20.10を表示します.ピニオンとギヤの位置(Js, Je)の定義を図20.12に示し,ギヤの歯形(断面)の例を図20.13に示します.


20.7 歯形・歯すじ修整
  歯形および歯すじ修整は図20.14~20.16のように定型で与えることができ,設定した修整を図20.16のように表示することができます.また,定型で設定した修整は図20.17のように任意修整にデータを引き継ぐことができます.


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  図20.17の任意修整では,歯面の分割や各位置でのデータの変更が容易であり図20.17(b)のように修整を色分布で表すことができます.本例では,図20.17のようにピニオンは無修整とし,ギヤに歯面修整を与えるものとします.ここで設定した歯面修整は,CSVファイルとして出力することができますし,他で作成したCSV ファイルを読み込むこともできます.


20.8 歯形レンダリング
  生成した歯形を図20.18のように表示することができます.歯の接触を確認するため自動回転機能や回転補正,そして軸角に誤差を与え歯の接触を確認することができます.


20.9 接触解析
  図20.19で接触解析の設定を行い[確定]すると生成した歯形の伝達誤差解析,歯当たり(接触距離)や,すべり速度を計算します.

  そして,歯面修整を考慮し,かみ合い接触を基にして全かみ合い率(本例ではεγ=2.29)を計算します.伝達誤差解析結果(TE=0.19μm)を図20.20に,フーリエ解析結果を図20.21に示します.


  歯当たり解析(接触距離)とすべり速度,そして,すべり率を図20.22~20.24に示します.本例では,図20.17でギヤに歯面修整を与えていることから図20.22 では歯面両端部で接触が弱くなっていることが解ります.また,フェースギヤは,ギヤの外側と内側で,すべりの差が大きくなることから図20.23 や図20.25で,すべり速度を確認することができます.なお,伝達誤差や,すべり速度(率)は,軸の取り付け誤差を与えても解析することができ,これらは両歯面について解析可能です.


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20.10 歯形出力
  生成した歯形を図20.26で出力することができます.図20.18の歯形を3D-IGES で出力し,CADで作図した例を図20.27に示します.


20.11 軸角Σ=120°およびΣ=70°の例
  ピニオンおよびギヤの諸元を同じとして図20.28のように軸角をΣ=120°としたときの計算例を図20.29~20.31に示します.

  また,ピニオンおよびギヤの諸元を同じとして図20.32のように軸角をΣ=70°としたときの計算例を以下に示します.


20.12 少歯数(オプション)
  高減速比を得るためピニオン歯数z1=1 を設定することができます.ここではz1=2 とし,ギヤ歯数をz2=51 とした例を以下に示します.また,少歯数の場合でも図20.28のように軸角を90°以外で設計することができます.


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mn=1, z1=2, da1=5.80, dai=65.00, df1=1.611, z2=51, dao=80, Σ=120°,e=12.0としたときの計算結果を図20.50~20.53に示します.


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